ドイツで売春を利用する男たち&合法売春の失敗から彼らが教えてくれること:社会的に目に見えない「フリーア」の視点から見た、性産業に関する6か国の報告書

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Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

こちらもメリッサ・ファーリー(Melissa Farley)博士らによる、2022年11月ドイツを含む6か国の性購入者=「フリーア(Freiers)」の調査です。
本調査報告書はこれまで透明化されてきた性購入者=「フリーア(Freiers)」へのインタビューで性売買の問題を浮き彫りにしています。

この調査では、これまで調査研究されてきた「性的攻撃性の合流モデル」に従って、性売買が性購入者の攻撃度を上げる複合的な要因の一つになるという推測を裏付けています。

特にこの研究を踏まえて性売買が合法化されたドイツで特徴的なのは、
①人身売買の疑いを通報しても法的なリスクは生じないにも関わらず、ドイツの買春者が人身売買の疑いを目撃しても、当局に通報したことがあるのはわずか1%に過ぎなかった
ドイツの性購入者は米国の性購入者より「女性に関する暴力関連犯罪」を多く犯している
ドイツの性購入者は、米国、英国に比べて性売買はレイプを減らすという神話を信じている傾向が高いのに、売春婦にはレイプの概念は適用されないと考えていて、レイプを含む性的攻撃的行動を犯す可能性が高い傾向があり、
③売春婦にだけでなく、すべての女性への暴力の容認と、すべての暴行、傷害事件を起こす傾向が高くなっている点
があげられます。


研究の背景と規模

本調査はドイツ、カンボジア、米国、スコットランド、英国、インドの6か国を対象としており、ドイツの96名の「フリーア(Freiers)」を含む763名の性購買者に対し、1時間半のインタビューを実施しました。
性購買者たちは売春や人身取引について率直な情報を提供し、その内容は売春から脱出したサバイバーたちによる数十年にわたる証言と一致しています。

「性的攻撃性の合流モデル」

この調査報告のなかで、それまでの「性的攻撃性の合流モデル」について頻繫に記述されています。

「性的攻撃性の合流モデル」とは

1991年にニール・マラミュース(Neil Malamuth)らによって提唱された「性的攻撃性の合流モデル」(Confluence Model of Sexual Aggression)は、性的暴行の加害行動が単一の要因ではなく、複数の心理的・社会的要因が「合流」することで引き起こされるとする理論枠組みです。
1991年の発表から現在に至るまで、このモデルは進化を続け、性犯罪心理学における最も影響力のあるモデルの一つとなっています。

1991年の初期研究で示されたのは、性的攻撃のリスクを高める2つの主要な特性の相互作用です。

敵対的男性優位(Hostile Masculinity / HM)
女性に対する不信感、敵意、支配欲求。
・「女性は男性に支配されるべきだ」「拒絶は逆恨みの対象」といった歪んだ信念。

②乱交的性向(Promiscuous Sexual Orientation / PO)
多くのパートナーとの短期的・非限定的な性的関係を好む傾向。
・性的なスリルを求め、性を対人操作の手段として捉える。

合流(Confluence)の意味: これら2つの特性が一方だけ存在する場合よりも、両方が高いレベルで組み合わさったときに、性的攻撃(強姦やハラスメント)の実行確率が爆発的に高まることを示しています。

その後の継続的な調査

「性的攻撃性の合流モデル」はその後も継続的な調査がなされ新たな要因も取り上げられています。

 発達的背景の追加 児童期の虐待経験、家庭内暴力の目撃、不遇な養育環境が、HMやPOを形成する先行要因として組み込まれました。
共感性の欠如 他者の苦痛に対する鈍感さが、HMから実際の攻撃行動へ移る際の「ブレーキ」を外す要因として注目されました。
ポルノグラフィの影響 特に暴力的な性的コンテンツへの曝露が、HM(女性への蔑視)を強化する触媒として研究されました。

1991年から現在まで、このモデルは「特定の異常者」を探すための道具ではなく、社会の中に潜む攻撃性の構造を理解するための地図として機能し続けています。

6か国の買春者の調査

本調査では、様々な疑問を性購入者に質問しています。

現在性的パートナーがいないから性を買うのだろうか?

6か国における、現在パートナーがいる性購入者の割合

全体(N=763)ドイツ
(n=96)
米国
(n=214)
英国
(n=106)
スコットランド(n=112)カンボジア
(n=133)
インド
(n=102)
63%56%61%53%52%83%67%
表6:6か国における、現在性パートナーがいる性購入者の割合,p21,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

初めて性購入を行うときの年齢

6か国すべてにおいて、男性が初めて性売買を行ったのは、平均して19歳から23歳という狭い範囲内であった。表8を参照。初めて性売買を行う年齢は抑止力という点で重要である。スコットランドでの研究によると、25歳までに性売買の経験がない男性は、将来的に性売買を行う可能性が低いことが明らかになっている(Groom & Nandwani,2006)。

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性購入者が初めて性を購入した平均年齢

6か国平均ドイツ米国英国スコットランドカンボジアインド
平均年齢21歳22歳21歳23歳23歳21歳19歳
表8:性購入者が初めて性を購入した平均年齢,p22,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

生涯で売春に利用した女性の平均人数は?

6か国平均ドイツ米国英国スコットランドカンボジアインド
55人55人48人85人32人45人76人
表9:性購入者が利用した売春婦の平均人数,p22,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

どれくらいの頻度で売春を利用しているか?

売春利用者の40%は、月に数回から月に1回の頻度で女性にお金を支払っており、さらに42%は2か月に1回以下の頻度で支払っていた。全売春利用者の17%は、週に1回以上の頻度で売春婦を購入していた。インドとカンボジアの売春利用者は、他の4か国の利用者よりも頻繁に売春を利用していた。

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頻度6か国平均ドイツ米国英国スコットランドカンボジアインド
週に1回以上17%11%14%9%14%27%33%
月に数回〜
月に1回
40%41%34%34%27%65%47%
2,3か月に1回
或いはそれ以下
42%49%52%58%58%9%20%
表10:ドイツおよびその他5か国における売春利用の頻度,p22,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

人身売買、売春斡旋、組織犯罪について

目撃、通報

性購入者の多くは、性購入時に人身売買や売春斡旋を目撃しており、注意深く観察しています。

ドイツ人性売買購入者の半数以上(55%)が人身売買の被害に遭っていたり、「マネージャー」に斡旋されていたりする女性を目撃していた。ドイツの買春者たちは、ドイツの売春に従事する女性の60%が人身売買の被害者であると推定した。

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ドイツでは、性的人身売買を目撃した割合が最も高い国の一つであるにも関わらず、性売買の買い手による警察への通報率は最も低い水準にとどまっている。ドイツでは性売買が合法であり、人身売買の疑いを通報しても法的なリスクは生じないにも関わらず、私たちがインタビューしたドイツ人男性のうち、人身売買の疑いを通報したことがあるのはわずか1%に過ぎなかった。

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ドイツの性売買購入者による人身売買の報告率を、米国および英国の性売買購入者の報告率と比較した。その結果、ドイツの性売買購入者の人身売買報告率は、米国および英国の性売買購入者よりも有意に低いことが判明した。これらの結果を総合すると、ドイツの性売買購入者はほかの西欧諸国に比べて人身売買を目撃する頻度が有意に高い一方で、そのような犯罪を報告する頻度は有意に低いことが示唆される。

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人身取引を目撃、推定、または報告した6か国の性売買購入者の割合

6か国ドイツ米国英国スコットランドカンボジアインド
人身売買や売春あっせんを目撃54%55%40%51%29%98%52%
人身取引の推定値51%62%41%41%41%50%40%
当局に人身取引を通報した9%1%17%14%該当なし11%該当なし
表13:人身取引を目撃、推定、または報告した6か国の性売買購入者の割合,p24,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”
強制的な支配・勧誘の手口について

性購入者たちは、売春業者が売春婦を強制的な支配や強制的な手口で勧誘しているのも知っています。

性購入者たちは、売春斡旋業者が威圧、暴力、虐待、依存で売春婦を支配・管理していると述べており、暴力や脅迫の現場を目撃しています。
「彼女が(もっとお金を)渡すまで、彼は彼女を殴り続けた」
「売春婦たちは目の周りが黒ずんでいて、歯が折れていた」
「売春婦は薬を飲まざるを得なかった。おそらく恐怖や、暴力で脅されていたからだろう」
「女たちがポン引きに十分な金を払わなかった場合、爪を剥がされたり、薬物を奪われたり、あるいはボロボロになるまで殴られたりした。女たちは怖がって、決して何も言わなかった。鼻血を出していたが、治療を受けることは決してなかった」

売春斡旋業者たちは、簡単に稼げる、客を選べると言って女性を誘い込む。その後、法外な家賃や、食費、その他の生活必需品に高額な費用を請求される。女性たちは債務奴隷状態に追い込まれる…、
性購入者たちは、こういった構造も理解しています。

「ラブ・ボンビング」「ロミオ・ポン引き」「ラバーボーイ・ポン引き」

偽りの仕事を約束し、ドイツに誘い込み、恋人のふりをして彼女たちに恋させ、バラ色の未来を約束しておきながら、結局は売春に送り出す。
ドイツの連邦刑事局(BKA)はこれを「ラバーボーイ・メソッド」と呼んでおり、強制売春とみなされています。

テレビ番組DIE ANSTALT2026年4月28日放送より

売春婦たちの心理的被害を目撃

性購入者たちは、自傷行為や解離症状など、売春婦たちの心理的な被害を目撃しています。

売春婦たちは自分自身を大切にしておらず、カミソリの刃で手や身体を傷つけては常に自分を罰している

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多くの客は、金銭を支払って性行為を行った女性たちに、解離性の症状dissociative symptomsを認めていた。

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彼女たちは確かにパニック発作に悩まされ、それをアルコールで抑え込んでいる。その結果、うつ病や双極性障害になり、薬物依存に陥ってしまう

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「この仕事を20年も続けている女性たちは非常に浅はかで、頭の中は空っぽだ。彼女たちはただのお年寄りの遊び道具にすぎない…彼女たちは疲れ果て、悲しみに満ち、生きる気力をすべて失っている。うつ状態にあると思うし、半分壊れているんだ。」

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売春が、売春婦および地域社会に及ぼすプラスおよびマイナスの影響

売春の利用者に、売春が女性自身や地域社会に与える影響がどれほど否定的か、あるいは肯定的かを尋ねたところ、回答者たちはよりあいまいな態度を示すようになり、売春は実際にはそれほど悪いものではなく、地域社会への影響もそれほど深刻ではないのではないか、と示唆した。(p31)

5か国の男性の30%が、売春は売春府本人に対してマイナスまたは極めてマイナスの影響を与えると回答し、23%が地域社会に対してマイナスまたは極めてマイナスの影響を与えると報告した。注目すべきは、ドイツの性サービス購入者が、地域社会に及ぼす悪影響を最小限と評価した点である。

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全体ドイツ米国英国スコットランドインド
売春は、売春婦に悪影響または非常に悪影響を及ぼす30%28%28%41%34%22%
売春は売春婦に良いあるいは非常に良い影響を与える13%9%13%18%7%15%
売春は、地域社会に悪影響或いは極めて悪影響を及ぼす23%5%33%21%36%4%
売春は地域社会に良い或いは非常に良い影響を与える11%21%3%13%3%26%
表14:5か国の性購入者による売春が売春婦および地域社会に及ぼすプラスおよびマイナスの影響,p32,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

売春利用者は、売春の害について過小評価や否認を行っているか?

ドイツおよびその他5か国での調査において、私たちは「フリーア」と呼ばれる男性たちから、人身売買や売春斡旋の実態を認識しているにもかかわらず、金銭と引き換えに性行為を購入していると説明される場面を目にしてきました。性行為を購入する男性の多くは、搾取や強制、人身売買を目のあたりにしていますが、それらは彼らが性行為を購入するという決断に影響を与えていません。(p32)

 あるドイツ人の客は、売春の残酷な現実と向き合えないから、「ただ考えないようにしている」とインタビューに答えた。別の客は、「変えられないことについて、なぜ罪悪感を抱かなければならないのか?彼女が(売春宿に)身を置くことになったことについて、私に責任はない」と語った。
 男性は、金で買っている女性が自分とセックスしたくないという明白な事実を、意図的に無視する。

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いろんな相手・複数のパートナーを求める割合

「性的攻撃性の合流モデル」の研究で示されたように、多様な性的パートナーを好むことは、非人格的な性行為を好む傾向があり、レイプを含む性的強制行為を行った経験があると報告する傾向も高いことが分かっています。
本調査での「どのくらいの頻度で売春を利用しているのか」という買春利用のアンケートと、非対人セックスへの嗜好についての問い「いろんな人とセックスするのが好き」「複数のセックスパートナーがいるのが好き」というアンケートについては、他国と比べドイツは特別高い数値ではありません。

全体ドイツ米国英国スコットランドンボジアインド
色んな人とセックスするのが好き77%55%71%84%75%93%88%
複数のセックスパートナーがいるのが好き75%58%67%77%65%94%92%
表16:6か国のセックスバイヤーにおける非対人セックスへの嗜好,p35,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

売春行為中の女性の感情を表すために、6か国の買春者と米国の売春婦が用いた肯定的な言葉と否定的な言葉の数を比べたところ、否定的な感情を表す言葉を90%の割合で使う売春婦に比べて、買春客のほうが肯定的な感情を表す言葉を使う割合が多いが、ここでも国によって差は出ますがドイツは平均的な数値にとどまっています。

売春を強いられている女性客全体ドイツ米国英国スコットランドカンボジア
肯定的な感情を表す言葉7%49%49%40%40%45%70%
否定的な感情を表す言葉90%37%42%44%33%44%21%
中立的な感情を表す言葉3%15%9%17%27%11%9%
総語数4561943420459377292395
表17:売春行為中の女性の感情を表すために、売春購入者と売春婦が用いた肯定的な言葉と否定的な言葉、p37,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

(売春を強いられていた女性たちは、米国ミネソタ州出身であった。インドの性売買の買い手に関しては、この質問は行われなかった。(p37))

売春は世代を超えて受け継がれるものなのか?

6か国の買春者のうちドイツで差が出た質問は、「息子が売春を買うのは構わない」「娘がストリップクラブで働くのは構わない」という質問である。
「息子が売春を買うのは構わない」という質問が全体では51%の平均であるのに対し、ドイツでは75%、「娘がストリップクラブで働くのは構わない」全体平均は23%であるのに対しドイツは32%と、平均としては娘への許容度があるとしても、息子が性を買うことへの許容度と差が出ているところである。

全体ドイツ米国英国スコットランドカンボジア
息子が売春を買うのは構わない51%75%45%59%56%61%
娘がストリップクラブで働くのは構わない23%32%24%30%37%11%
表19:息子と娘にとって許容される活動と許容されない活動,p38,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

性サービスの購入者は、娘たちと葉別の特別な女性グループを区別している──つまり、商品や物、人間以下の存在、軽蔑すべき存在として分類されている若い女性たちである

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レイプ神話の受容度

ここでのレイプ神話とは「男の性欲は誰かで発散すべきものである」とし「売春がレイプを減らす」というもの、「金銭を支払えば好きなことを何でもできる」と思っていて、「レイプという概念は売春婦には適用されない」といったものです。

6か国合計ドイツ英国米国スコットランドカンボジアインド
男は、売春婦にお金を払えば、好きなことを何でもできる。44%39%26%40%22%74%63%
売春婦にはレイプの概念は適用されない。35%35%23%13%10%79%61%
売春婦がいることでレイプが起こる可能性は低くなる。58%76%54%36%41%72%91%
表20:売春とレイプに関する通説に対する性購入者の受容度,p38,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

6か国における性購入者の44%は、金銭を支払えば男性は好きなことをできると考えており、35%はレイプという概念が売春婦には当てはまらないと考えていた。ドイツの性購入者の3分の1以上(39%)は、売春婦に金を払えば彼女に対して好きなことをしてもよいという権利があると感じており、35%は売春婦にはレイプの概念が適用されないと信じていた。

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性購入者は、売春制度が売春に従事していない女性にもたらすとされる利益に焦点を当て、一方で売春を強いられている女性へのレイプや、彼女たちの人間性については無視している。売春に従事する女性は、性購入者によって、男性からの性的暴行を受けるに値する、人間として貶められた存在として扱われる。男性の性的期待が満たされない場合、レイプや売春は避けられないものと見なされる。パートナーから要求された性行為に応じられない女性は、パートナーが売春婦を利用する原因として非難される。「もし婚約者がアナルセックスをしてくれないなら、やってくれる人を知っている」と、本研究のインタビューに応じた米国の性購入者は語った(Farley,Schuckman et al.,2011)。ロンドンのある被験者は、売春を強いられている女性たちについて「彼女たちには気の毒だが、これが俺の望みなんだ」と述べた。

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性売買の利用と、敵対的な男らしさやすべての女性に対する性的攻撃性の関係

本研究では、売春がレイプを減らすという説とは逆に、売春がレイプを増やす可能性を示唆しています。

6か国にわたる調査において、過去1年間に男性が売春婦を利用した頻度と、レイプを行う可能性との間には有意な相関関係が認められた。性行為の対価を支払う頻度が高い男性ほど、レイプを含む性的強要行為を行ったと報告する傾向が強かった。性行為の購入頻度が高いことは、女性から性行為を得るためにアルコールや薬物を使用すること、性行為を得るために身体的暴力を振るうと脅すこと、性行為を行うための身体的暴力の行使、および肛門性交やオーラルセックスを得るための脅迫や身体的暴力と関連していた。

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ドイツの性購入者においては、生涯の性交渉相手が多いほど、レイプを含む性的攻撃的行為を行ったと報告する傾向が強かった。

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ポルノの利用頻度と影響

性的客体化は、性的攻撃性の先行要因であることが知られています。
ポルノもまた相互に作用する要因のひとつとして性的攻撃性を高めると考えられています。

週に1回以上ポルノを利用している者の割合

6か国平均ドイツ米国英国スコットランドカンボジアインド
ポルノを頻繁に利用する男性の割合53%55%60%54%35%62%42%
表21:6か国の性購入者のうち、週に1回以上ポルノを利用している者の割合,p41,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

6か国を対象とした調査の結果、ポルノの利用頻度が高いと報告した性購入者は、性購入の頻度も高い傾向にあることがわかった

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調査対象となった6か国すべてにおいて、週1回ポルノを視聴する習慣と、レイプを含む性的強要との間に有意な関連性が認められた。ポルノの利用頻度が高い人ほど、より性的に攻撃的な行動を報告した同性愛者の性売買利用者である傾向が見られた。週に1回以上ポルノを利用すると報告した性売買利用者は、性欲の高まりから女性に性行為を強要した、身体的な力を使って性行為を行った、脅迫や身体的強制を用いて女性に肛門性交やオーラルセックスをさせたと報告する傾向があった。英国、米国、スコットランドにおいて、週1回以上ポルノを視聴していると報告した性購入者は、オーラルセックスや肛門性交を得るために脅迫や身体的強制をより多く用いたと報告する傾向もあった。

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ドイツ、カンボジア、米国のうち、ポルノ視聴中に特定の種類の性行為を目にしたと報告している。

アナルセックス88%
ぶっかけ74%
肛門への口淫58%
嘔吐を伴う口淫57%
動物との性行為50%
拷問26%
首絞め23%
絞殺16%
殺人5%
図1ドイツ、カンボジア、米国の性サービス購入者が(ポルノ視聴中に)目撃した性行為,p42,,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

「ぶっかけ(Bukkake)」とは、複数の男性が女性の顔に射精する行為。女性は通常泣いている、と解説されています。

性売買以外の犯罪行為の関与

本調査では、ドイツ、米国、英国の性売買の買い手に対し、逮捕歴及び有罪判決について質問を行っています。ドイツ、米国、では、詳細に犯罪の内容を説明するよう求めた。

ドイツの性購入者は、英国の買い手よりも多くの回数逮捕されていた。
米国と比較しても多くの犯罪を犯していた。

ドイツのフリーア(性購入者)は、米国の買春者よりも女性に対する暴力犯罪を多く犯しており、ドイツの性購入者は、米国の性購入者よりも暴行・傷害を多く犯していた。ドイツの性購入者は2件の殺人罪を犯したと報告したのに対し、米国の性購入者はゼロであった。あるドイツの性購入者は、組織犯罪の容疑で逮捕されたと報告した。この傾向は続き、ドイツの性購入者は、強盗、住居侵入、財産犯罪、薬物販売、薬物所持といった犯罪において、米国の性購入者よりも多く犯していた。薬物またはアルコールの影響下での運転による逮捕を報告した男性の数は、両国とも同数であった。一方武器関連違反は米国の性購入者が3件報告したのに対し、ドイツの性購入者はゼロであり、権威に対する犯罪、公序良俗違反、および交通違反については、米国の性購入者がドイツのフリーア(性購入者)よりも多く犯していた。

p43,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

ドイツの性購入者
n=97
米国の性購入者
n=101
女性に対する暴力
警察官へのなりすまし01
接近禁止命令の対象50
接近禁止命令違反01
公然わいせつ(公然での放尿)21
証人への脅迫21
わいせつ行為21
器物損壊41
女性に対する暴力関連の合計116
暴行・損害
警察官に対する暴行罪02
殺人未遂または過失致死22
暴行および傷害216
武器を用いた暴行および傷害12
逮捕への抵抗01
ひき逃げ11
暴行(起訴取り下げられた)00
万引き・喧嘩20
暴行・傷害の合計2714
殺人
過失致死20
殺人事件の合計20
表21:ドイツおよび米国における性売買の買い手による犯罪,p43,p44,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”
ドイツ
n=97
米国
n=101
武器の所持・隠匿携帯03
強盗62
住居侵入54
財産犯罪27(うち13は運賃不払い)7
組織犯罪10
公権力に対する犯罪13
公序良俗違反(迷惑行為)210
交通違反13
薬物乱用・薬物販売
薬物・飲酒運転・危険運転77
薬物・所持1611
表22:ドイツおよび米国における性売買の買い手による犯罪,p44,p45,Men who pay for sex in Germany and what they teach us about the failure of legal prostitution: A 6-country report on the sex trade from the perspective of the socially invisible “freiers”

まとめ

本研究では、合法的な売春は売春の安全性を高めないことが判明した、とまとめています。
性売買合法化により、ドイツのフリーア、性購入者が人身売買の疑いのある現場…暴力や脅迫で売春婦が脅かされている状況を黙殺し、売春がレイプを減らすというレイプ神話を信じ、それを根拠に売春婦に対する性的暴行を正当化し、売春婦への共感を欠如させて非人間化しています。
それだけでなく、女性への暴力関連犯罪、女性に関係しない暴行・傷害も数値を上げ、売春婦だけを非人間化しているのではなく、女性全般を非人間化し、全般的に暴力的になっている傾向が見受けられます。

若い男性の3人に1人、女性に対する暴力を「容認」 独調査

若い男性の3人に1人、女性に対する暴力を「容認」 独調査
ドイツの若い男性の3人に1人は、女性に対する暴力を「容認できる」と考えていることが、慈善団体が実施した意識調査で分かった。

ドイツの若い男性の3人に1人は、女性に対する暴力を「容認できる」と考えていることが、慈善団体が実施した意識調査で分かった。

>意識調査は子ども慈善団体のプラン・インターナショナル・ジャーマニーがオンラインで実施。ドイツ国内の18~35歳の男女それぞれ1000人を対象に、男らしさに関する考え方を尋ねた。調査結果は西ドイツの地元紙に掲載された。

2023年に報道された調査結果ですが、決して唐突な意見ではなく、性売買合法化によって、売春婦が激増した社会で、男性の「性的攻撃性」と有害な男性性が上がった結果なのではないかと推察します。

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